京都精華大学 デザイン学部ビジュアルデザイン学科 高橋トオル氏 和文と欧文 主宰/coban.lab デザイナー 上田寛人氏

タイプデザインの授業を変えたDrop&Type

京都精華大学では、2016年にデザイン学部ビジュアルデザイン学科にDrop&Typeを導入しました。それまで使用していたフォント作成用アプリケーションは、学生がオリジナルフォントを作るためには多機能だったため、より簡単なツールについてcoban.labの上田氏に相談し、導入に際してのレクチャーを依頼しました。

上田氏は、「4年ほど前に、他社のアプリケーションでのフォント化のレクチャーをしましたが、文字づくりの前にやらなければならない設定などが多く、学生にはハードルが高かったのです。文字デザインはAdobe Illustratorでほぼ完成していたので、学生が作りたいものを直感的に作れるツールを探していました。ツールの細かい設定作業ではなく、Illustratorの作業の効率を上げることが目的でした」と語ります。

それまでのツールは、縦書き用文字の配置場所の確認やメトリクスの設定、修正時のツール間の移動など、フォント化するための細かい説明が必要でした。京都精華大学のデザイン学部ビジュアルデザイン学科の高橋氏は、Drop&Typeについて、「簡単の一言です。文字はアウトラインベジェの作成まではできても、エンコードや字面の設定、サイドベアリングやペアカーニングなどのメトリクス情報の編集までとなると、かなり複雑な仕様なってしまいます。それでは、学生の入門用ツールとしては拒否反応が出てしまうのですが、Drop&Typeは簡単で拒否反応が出ませんでした」と語っています。

以前のツールは学生が購入するには高価ということもあり、試用版で制作していました。そのため、授業終了後に学生がフォント制作を継続することができませんでした。Drop&Typeは、個人で購入できる価格帯であることもあり、すぐに学生のワークフローの一部になりました。

「学生の『自分のフォントができた!』という興奮がすぐにおさまり、デザインに戻って修正に没頭していたことが印象的でした。使い慣れたツールで、自分たち自身で完成まで持っていけるので、『もっとこうしたい』という欲求が出て、何度も作りなおしていました。それは、本来、タイプデザインをするときに気づかなければならないところに、目がいくということです。Drop&Typeは、今までのツールと比べるとフォント化に対する作業負担が雲泥の差だということを実感しました」(上田氏)

coban.labでは、クライアントのロゴやWebサイトのデザインやコーディング、コンテンツ制作やコンサルティングを提供しています。上田氏はWebデザイナーとしてクライアントに接する中で、フォントに関してさらに知識を深めて提案したいという思いから、「和文と欧文」を立ち上げ、京都文字塾展などを開催しています。また、日本タイポグラフィ協会発行のタイポグラフィックス・ティーの編集に携わっていた時に訪れたアジア各国での、文字の現場での経験でも意識に変化がありました。

「彼らと話しているうちに、漢字とひらがな、カタカナ、数字、ローマ字の5種類を使いこなすのは日本人だけだと気づきました。書体選択に対してWebデザイナーがもっと意識して参加しなければならないという思いから、和文と欧文を同時に学ぶ場を作りました。どのようにしてフォントができたか、どのように使うべきかを考えるために、Drop&Typeを使って、自分でフォントを作るという体験ができるのは素晴らしいと思います。」(上田氏)