あさってが最後の営業日となるリブロ池袋をゆっくり見て回る。平台の本はすべて低く、店内はしんみりとした気配が漂っていた。名古屋にいた学生時代から定期的にここに立ち寄って、いったいどれだけ本を買っただろう。一店舗あたりの買い物金額はダントツでこの書店になるはずだ。いちばん気になっていたのは、ひと月だけ復活した「ぽえむ・ぱろうる」である。美しいたたずまいの書物が陳列してあるガラスケースの上にチラシが置いてあったので手にとって見てみると、石神井書林の内堀さんが書いた小文とガラスケース内の書物のリストだった。チラシの横に置いてあった内堀さんの近著『古本の時間』をぱらぱら見ていくうちに、もしやこれはという予感がしたらやっぱりそうだった。十年まえに内堀さんが某雑誌で連載していたコラムが収録されていた。「タイプデザイナーをしているスズキ君」の滑稽な姿がみじかい文章で的確に描写されているあのコラムが。それはともかく、内堀さんが書くものはどの一篇も滋味に富んでいる。読みながら帰りの西武池袋線でしんみりしてしまった。さようなら、そしてありがとう、リブロ池袋。