株式会社リブコデザインカンパニー 代表取締役 アートディレクター 栗山 彰 氏/デザイナー 原 朋宏 氏

鮮烈な印象の明朝体

リブコデザインカンパニーは、株式会社T2のグループ会社としてデザインワークを中心に企画提案から撮影ディレクションまでを提供しています。アートディレクターの栗山 彰氏を中心とした10名のデザイナーがデザインディレクションから、電子ブックへの展開、撮影から動画の編集などを担当し、常に10本以上のプロジェクトを並行してすすめています。T2グループは、デザインスキルを極めた3社の総合力により、大規模なクリエイティブワークに対応しています。

紙媒体から動画の編集や電子ブックへとその制作範囲を広げたきっかけのひとつは、山形県庄内でのイタリアンレストラン「アルケッチァーノ」のオーナーシェフ、奥田 政行氏との出会いによるものだといいます。奥田氏は庄内の豊かな食文化を背景に、在来作物を使った料理を提供しています。リブコデザインカンパニーは、庄内の四季に合わせた奥田氏の料理とその食理論を紹介する書籍「食べもの時鑑」のデザインを担当し、電子化の準備もすすめています。

「『食べもの時鑑』の発刊準備編として制作したダイジェスト版で、レイアウトの方針が決まりました。ダイジェスト版は鶴岡市と奥田氏が開催したイベントで配布し、限定的に電子ブックも公開しました。奥田さんは、料理や食に関する膨大なメモを書き留めると同時に、写真家の長谷川 潤氏と共に庄内の四季の写真も撮りためていたので、それらを編集し、1年半ほどかけて本編を制作しました」と、アートディレクターの栗山氏は語ります。

「食べもの時鑑」では、直感的に伝わる庄内の風景写真や、自然をグラフィカルに捉えた印象的な写真を使用しています。デザイナーの原氏は書籍化に際して、この印象的な写真に合う書体は何かと考えたといいます。「奥田さんの『地産地消』という考えは日本的ではありますが、この本の持つメッセージ性を考えると、既存のちょっとオールドなイメージの書体とは違うと思ったのです。『食べもの時鑑』の各節季の扉部分をエモーショナルページと呼んでいるのですが、そこを鮮烈な印象にしたかったのでTP明朝ハイコントラストを使っています。写真の強さに負けませんね。料理名と説明のページは落ち着いた印象にしたいと思い、小さな文字サイズでの可読性を考えてローコントラストにしています」

リブコデザインカンパニーでは、オフィス関連事業などを展開するITOKI社や、電気メーカーのカタログ制作も担当しています。制作の際には、クライアント企業へのヒアリングを行い、製品の特性やカタログのコンセプトに合わせた書体選びをしますが、見出し等で他社フォントを選択した場合でも、仕様などの表組み等ではAXIS Fontを多く使用しています。

「表組みの部分は記号や数字が多いのですが、AXIS Fontがあることで安心感があり、ストレスを感じることなくレイアウトができます。書体の選び方によってはスマートにすすまないこともあり、綺麗に組めないことがあります。そんな時は、AXIS Fontを使うと『ビシっと』決まるのでカタログで多用しています。TP明朝とAXIS Fontを組み合せた電気メーカーのカタログでは、TP明朝ハイコントラストとローコントラストを挑戦的に組んでみました。書体は、情報を確実に伝えるものであり、デザインコンセプトに合わせて印象づけるものだと思っています」(原氏)

栗山氏はデザインにとって時代性も重要な要素と捉え、写真の撮り方や書体の選択、レイアウト、紙の素材感などを複合的に組み合わせてカタログや書籍を制作しています。「TP明朝はモダンな印象ですっきりしているので、『さらっ』と使える気がして購入しました。既存の明朝体は、止めやはね、返しにどうしても『匂い』がついている気がするのです。AXIS FontもTP明朝も洗練された書体だからこそ、今の時代を感じる印象づけがしやすいのです」

原氏
ウェットで時に古い印象を感じる書体もある中で、TP明朝は、紙でもデジタルでも選びやすいので、メディアが多様化している若いデザイナーの感覚にも合うと思います。

栗山氏
「都市フォントプロジェクト」が面白いですね。これからは地方独自の文化を発信していかなければならない時と感じています。地方振興と合わせて、47都道府県に広がればいいと思っています。