ディアンドデパートメント株式会社 取締役副社長 松添 みつこ氏 デザイン事業部 デザイナー 中川 静香氏

精密さを表現する書体

D&DEPARTMENT PROJECT(ディアンドデパートメントプロジェクト)は、2000年にデザイナーのナガオカケンメイ氏によって創設された、「ロングライフデザイン」をテーマとするストアスタイルの活動体です。現在は、東京やソウルなど国内外に11店舗を展開する他、デザインコンサルティングを行うD&DESIGN、47都道府県の個性をまとめた観光ガイドを発行する d design travelなどへ活動を広げています。

「自分たちのこととして考えられないものはやめましょう、というスタンスで活動しています。創業当初に60VISION(ロクマルビジョン)を立ち上げて、老舗の日本メーカーの工業製品の若者向けリブランディングのコンサルティングをしていました。自社のプロジェクトに専念するために、それ以外の仕事はお断りをしていたのですが、『ロングライフデザイン』という考え方に賛同してくれるお客様が増えてきたのでデザインセクションを作り、お客様のご依頼にお応えすることにしました。店舗を持っているデザイナーの強みを活かした仕事ができていると思っています」と松添氏は語ります。

池内オーガニック社のステーショナリーとカタログ、ラベル

D&DEPARTMENTは、「オーガニックに精密さを」をコンセプトとする、今治タオルの池内オーガニック社のリブランディングを依頼されました。池内オーガニック社は、原材料の調達から最終製品に至るまでの安全性と環境性のデータを全て公開している企業です。そのカタログやパッケージ、ラベルなどすべてにAXIS Fontが採用されています。

中川氏はAXIS Fontコンデンスを選択した理由を、「カタログでは素材や構造を伝えるための情報量が多く、限られたスペースですべてを伝えることができる書体を選ぶことが重要でした。また、タオルを並べた時の精密さを表現することも書体に求めました」と語っています。

D&DEPARTMENTのプロジェクトは、ロングライフデザインという考え方が根底となっています。新規の依頼を受けた場合は、複数セクションへのインタビューでキーワードを抽出し、企業の個性やアイデンティティを示すブランドブックを策定して、パッケージやユニフォーム、名刺、インテリアなどに展開していきます。その企業が培ってきたものや変えるべき部分を一緒に判断することで、クライアント企業と長く継続した関係を築いています。

「制作に使用する多彩なフォントは弊社で揃えています。池内オーガニック社には、AXIS Font RとLの2フォントのみを購入いただきました。フォント数が多くなると、クライアントが迷ってしまうのです」(松添みつこ氏)

ロゴやカタログ、パッケージなどブランディングに関わる部分は、D&DEPARTMENTが制作し、お客様への手紙やプレスリリースなどはフォーマットを提供しています。クライアント企業には、日常業務で使用する必要最小限のフォントの購入を提案することで経費節減にも貢献しています。

D&DEPARTMENTは、2014年から渋谷ヒカリエが主催する物産展の企画を行っています。
2016年は、渋谷という個性を出しながら、マルシェでの販売と、その野菜を使ったレストラン、トークショーなど本来の農業を考えた「文化的体験」ができるアグリカルチャー物産展として展開しました。

「学生時代から目に馴染んでいたAXIS Fontを、デザイナーになって使える日がくるといいなと思っていました。今は、AXIS Fontだったらどうかと最初に検証します。ベーシックも試しますが、情報量を考えるとコンデンスを選ぶことがほとんどです。TP明朝は5ptにしても読みやすいので、本文やWebサイトで使ってみたいと思っています」(中川静香氏)

「メインビジュアルでは、『アグリカルチャー物産展』という文字を大きく使う必要がありました。一列に配置したときに横広がりになり過ぎず、3行にして字間を空けてもおさまりがいい。背景のグラフィックスの邪魔をすること無く、縦でも横でも綺麗に展開できるフォントはAXIS Fontコンデンスしかないと思いました。食品らしさを出すため、キャッチコピーでは角を落として使っています」と中川氏は語ります。

良い食品づくりの会が主催した博覧会でも、DINコンデンスとAXIS Fontコンデンスが選ばれました。
「このイベントでは商品の美味しさだけではない、生産者たちのものづくりにかける想いや、彼らの商品やその取り組みを通して正しい食のあり方を伝えていくことがミッションでした。食のイメージを優先するなら、シズル感と表現されるような食っぽいフォントが好まれる傾向にありますが、ここでは、アカデミックでありながら、かつ食のイメージも邪魔しないフォントとして選びました。」(松添氏)